佐世保水交会
役員等
会 長 梅崎 時彦
 
副会長 林田 嘉信   
副会長 二瓶 芳信
副会長 奥田 幹雄
副会長 甲斐 義博
副会長 直木 隆一郎
副会長 重信 哲
幹事長  清水 博史
副幹事長 高山 真砂美
事務局長 山添 敏明  
連絡先

〒857-0401

佐世保市小佐々町黒石339-48 

ジェイ・アール・シー特機株式会社 佐世保事業所内 

公益財団法人 水交会佐世保支部

TEL:0956-68-3335 FAX:0956-68-3454

支部運営規則 https://suikoukai-jp.com/suikoukai/wp-content/uploads/2024/04/水交会佐世保支部運営規則.pdf

 

 

練習艦隊が寄港しました

令和7年4月4日(金)、第75期一般幹部候補生課程卒業生ら(196名)が乗艦する、海上自衛隊 練習艦隊(司令官:渡邉 浩 海将補)「うらが」「てるづき」「うみぎり」「しまかぜ」が、風穏やかな快晴の下、桜満開の佐世保港倉島岸壁に入港しました。引き続き入港歓迎行事が行われ、宮島大典佐世保市長から、「最も自衛隊を応援するまちである佐世保を堪能してください。」と歓迎のあいさつがあり、さっそく夕刻には四ケ町アーケードの南側中央において佐世保自衛隊後援会主催により恒例となりつつある、市民に公開された入港歓迎レセプションが行われました。

 職域希望を尋ねられたある女性実習幹部は、「私は、パイロットを希望しています。男性には負けません。」と熱く語り、周囲の男性実習幹部が「うぉ~」と圧倒されていたのは印象的でした。

5日(土)は「うらが」格納庫・飛行甲板において、練習艦隊司令官主催の艦上レセプションが実施されました。

6日(月)の出港に際し、渡邉司令官から、「心温まる歓迎に感謝します。この感謝をエネルギーにして実習幹部を育成してまいります。」とのあいさつが行われ、練習艦隊は次の寄港地舞鶴に向けて出港しました。

 佐世保水交会は、入出港行事、地元主催入港歓迎レセプション及び艦上レセプションに会長以下多数が参加して練習艦隊を歓迎し、実習幹部を励ましました。

今年は練習艦「かしま」が定期検査のため、練習艦隊は掃海母艦「うらが」、護衛艦「てるづき」・「うみぎり」、練習艦「しまかぜ」の4隻編成で近海練習航海を行い、来る遠洋練習航海に向けて備えています。

 

「うらが」「しまかぜ」「うみぎり」

                「てるづき」

四ケ町アーケードでのレセプション

          渡邉司令官あいさつ

 

 

 

 

 

          「うらが」格納庫

        フルーツのデコレーション

 

 

 

 

 

 

                「うみぎり」

              「てるづき」

                「しまかぜ」

                        「うらが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時局講演会(講師:吉田正紀氏)を開催しました

佐世保水交会は、929日(日)JA佐世保ホールにおいて、第40代佐世保地方総監として佐世保地方隊を指揮された吉田正紀氏を講師としてお招きし、時局講演会を開催しました。

  吉田氏は、現在、防衛大臣政策参与としてご活躍されており、また、ワシントンDCにおいて双日米国副社長として、政・財・官に亘る幅広いヒューマンネットワークを駆使し、日米同盟の強化と発展にご尽力されています。

    講演会には、佐世保水交会会員約40名、防衛協力団体等約30名、佐世保地方総監部の稲田幕僚長、江畑第2護衛隊群司令を含む現役隊員約70名、宮島大典佐世保市長、市議会議員を含む佐世保市民等約70名、合計210名もの参加者が集い、米国大統領選挙を控えた米国内の情勢を含む、混沌と緊迫化する国際情勢について、メディア情報だけでは知ることのできない旬で貴重なお話を伺うことができました。

    話の内容に加えて、吉田氏のユーモアに富んだ話は、聴衆を魅了し、予定していた2時間はあっという間に過ぎ、濃密で有意義な講演会となりました。

  また、講演会前日の28日(土)には、総監時代に、カウンターパートとして深い絆を紡がれた朝長則男前佐世保市長をはじめ、吉田氏を敬愛して止まない面々が発起人となって盛大に前夜祭が開催され、大いに盛り上がりました。

このような催しは、海上自衛隊と佐世保市民の絆を強化し、海上自衛隊の活動に対する理解の促進に寄与できたものと考えています。佐世保水交会は、今後もこのような企画を実施し、水交会会員のみならず佐世保市民の国防意識の啓発に努めてまいります。

 


海軍兵学校針尾分校の碑の清掃活動を実施しました

 この碑は広島県江田島(現江田島市)に在学された海軍兵学校78期約2000名の方々が昭和204月から7月までの間、長崎県佐世保市の針尾島(現ハウステンボス近傍)に移転した分校で過ごされたことを記念し、平成4年に建立されたものです。

 78期の皆様も高齢となり、平成19年以降佐世保水交会が委託を受け維持管理しています。2ヶ月に1度程度の清掃を実施しており、今回は98日に行いました。当日は残暑が厳しかったものの、午前8時から3人がかりで高圧洗浄機も使って1時間ほど清掃し、すっかりきれいになりました。

   祖国の安寧を願い青春を捧げた篤い思いを次世代に繋げていくのが我々の務めだと思います。佐世保水交会はこのような活動を今後も続けていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐世保海軍墓地 お盆供養 に参列しました

 佐世保水交会(会長 梅崎時彦を含む10名)は、令和6年8月14日()に行われた佐世保海軍墓地保存会主催の佐世保海軍墓地(佐世保市東山町)お盆供養に参列しました。

    佐世保海軍墓地には、明治以来の戦没者176千余柱の英霊と併せて、海上自衛隊殉職者の霊名簿が奉納されております。国のため、家族のため命をささげられたおかげで、先の大戦後79年間にわたる平和が今も保たれていることに感謝し、そのことを次の世代に語り継いでいかなければならないと、あらためて痛感しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐世保海軍墓地 お盆供養 一斉清掃に参加しました

佐世保水交会(会長 梅崎時彦)は、令和6年8月14日(水)に行われる佐世保海軍墓地(佐世保市東山町)お盆供養に向けて8月4日(日)実施された清掃活動に参加しました。

当日は、このところ続く猛暑のなか、佐世保水交会会員(会長を含め11名)、佐世保海軍墓地保存会、海上自衛隊OB合わせて総勢32名が墓地美化のため汗を流しました。

 

令和6年度水交会佐世保支部定期総会を開催(新態勢に寄せて)

佐世保水交会は、令和6413()、佐世保市内のJAさせぼホールにて、令和6年度定期総会を開催しました。  本総会は、例年と大きく異なる点があり、このことを踏まえ、様子をご紹介いたします。

【会長交代】 会長は、本定期総会をもって、外村尚敏から梅崎時彦に引き継がれました。

 外村前会長は、4期8年の長きに渡り、佐世保水交会を牽引、この間、コロナ禍による各種行事の自粛等、数々の懸案事項が生起しましたが、直球勝負の精神でこれらに向き合い、態勢の維持・拡大に貢献されました。  実施事業の一つを紹介しますと、海軍兵学校最後の生徒でつくる海軍兵学校第七十八期会から、テーマパーク「ハウステンボス」に隣接する「海軍兵学校針尾分校の碑」の維持管理業務の委託を佐世保水交会が受けていましたが、これを水交会本部との覚書に格上げ変更し、末永く佐世保水交会が継承できるよう軌道に乗せたことがあります。

 本件に関しては、記憶に残ることがあります。 当該事業を進めるに当たり、会長をはじめとして、会員数名が海兵七十八期会の要人である上戸氏と長崎市内で懇談の機会を得たときのこと。 氏は、針尾分校において、教官から、「敗戦が近いこと」及び「戦後を担っていくのは君達である」というようなニュアンスのことを聞いた記憶があると、しみじみ語られました。戦後、海兵出身者は政財界で活躍され、日本復興の礎を築かれたことは、周知のとおりです。当時を生きた人から、史実として生の声を聞けたことは、正に貴重な経験であり、良き思い出となりました。

梅崎時彦新会長は、佐世保教育隊司令を最後に6年前に定年退職し、現在、佐賀県唐津市在住です。 総会において、「会長就任は、自衛隊に対する恩返しの絶好の機会であり、精一杯尽力する」旨、語られ、その思いは、会場を熱く包みました。

【講 話】 俵 千城佐世保地方総監からは、「潜水艦部隊の概要」と題して、潜水艦の構造や特質、潜水艦要員の教育体系等について、ユーモアあふれる講話をいただきました。
    なお、俵総監は、潜水艦隊司令官の要職を経験されており、我が国周辺海域における脅威を考えたとき、正に海上防衛に必要な方といえるでしょう。 

 斎藤 聡自衛艦隊司令官からは、「自衛艦隊の現状など」と題して、これまでの勤務経験で、特に印象深いことを中心に講話をいただきました。 斎藤自衛艦隊司令官は、総会前日に行われた護衛艦「あけぼの」派遣海賊対処行動第46次水上部隊の帰国行事のため来佐され、この機を得て講話をお願いしたものです。 お話しの中で、次の件は、特に印象深いものでした。

 司令官が、広島県江田島市にある海上自衛隊幹部候補生学校の校長のときのこと。 平成30年7月豪雨により、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、最終的に、死者237名(広島県115名、岡山県66名、愛知県31名、他府県25名)、行方不明者8名、重軽傷者は432名にのぼりました。 学校長は、この状況に意を決し、連休を含む数日間、幹部候補生を災害派遣の任に従事させたとのこと(防衛省の資料によれば、主に「給水支援」と思われます。)。 任務を終えた候補生は、異口同音に、「国民に対する奉仕の精神を自覚」した旨、心中を吐露したとのことでした。 生きることが圧倒的に簡単になった時代においては、なかなか、生きる意味を見出せなくなるもの。 これは、まさしく人の生きる力をはぐくむ心の教育であり、深く感銘を受けた次第です。

             斎藤自衛艦隊司令官の講話                  俵佐世保地方総監の講話

 

【懇親会】 多数のご来賓のご臨席を得て、衆議院議員 金子容三様、佐世保市長 宮島大典からご祝辞を賜った後、しばしの歓談となりました。

      固き握手(:梅崎新会長 左:外村前会長)                      梅崎新会長のあいさつ

   佐世保市を牽引される各界の方々が一同に集い、水交会が目的とする「海上自衛隊が行う諸活動への協力」及び「諸団体との積極的な交流による国政の健全な運営の確保」に寄与することができたものと考えます。  梅崎新会長のもと、佐世保水交会は新たな態勢を始動、さらに力を合わせ、引き続き、海上自衛隊に対する協力支援を推進してまいります。 関係諸団体等におかれましては、引き続き、ご支援ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 

(文・写真:副会長(当時) 細國 春夫 写真:副会長 林田 嘉信)

 参考資料:平成30724日防衛省 平成30年豪雨に係る自衛隊の災害派遣について(1200分現在)

令和5年度水交会佐世保支部定期総会に寄せて(安倍元首相と硫黄島)

  佐世保水交会(会長:外村尚敏)は、令和5415()、佐世保市内のJAさせぼホールにて、定期総会を開催いたしました。市内は、翌日、16()からの統一地方選挙の佐世保市長選挙及び佐世保市議会選挙の告示を控えており、何となく気忙しさに包まれていました。

  まず、総会について、お話しします。

 議案審議が終了し、一般会員の方から、会員の減少を危惧するお声がありました。本件については、喫緊の課題として、その方策について検討を重ねてきたところです。 退職後、OBとして何かできることはないか!?“という「ボランティア精神」の発露が重要な鍵であろうかと考えていますが、妙案というものは、なかなか思い浮かびません。 我が国を取り巻く真に厳しい安全保障環境下、私達のような支援団体も含めた、国の総合力が問われているところであり、一般会員の方々のお力も頂戴しつつ、引き続き、鋭意検討していく所存です。

 次に、「今後の日本の安全保障と課題」と題して、元統合幕僚長 河野克俊氏による講演を拝聴いたしました。

 開始早々、安倍晋三元首相が硫黄島で滑走路にひざまずき、手を合わされているお姿がスクリーンに映し出されました。

写真提供 河野克俊元統合幕僚長

   安倍元首相が硫黄島を訪問されたのは、政権の座に返り咲いて間もない20134月のこと。 硫黄島の視察を終え、次の訪問地、父島に向かう首相を河野元海上幕僚長が飛行場の滑走路に駐機していた飛行艇US-2まで先導していたときのこと。

 「お見送りの際、飛行場の滑走路で突然、ひざまずかれて手を合わされた。恥ずかしながら私はどう対応していいのか、分からなかった。よく考えてみると、滑走路の下には、ご遺骨が眠っている。それを安倍元首相は、ご存じだったのだ。」1)

写真提供 河野克俊元統合幕僚長

 滑走路の下には、日米の戦死者のご遺骨が眠っている。 安倍元首相は、戦没者に対して、極めて強い哀悼の意をお持ちの方である、とも河野氏は語られました。  なお、このとき、マスコミはすでに先行して父島に向かっており、島内にはいなかったそうです。

 平成27429日、安倍元総理は、歴代の総理大臣として初めて米国連邦議会上下両院合同会議において、演説を行われました。

 安倍元総理の後ろで演説を聴いているベイナー下院議長は、ポケットから何回もハンカチを取り出し、涙を拭いておられました。 その隣に座っているバイデン副大統領(現バイデン大統領)も、いまにも目頭を押さえそうな顔つきだったそうです。 また、この演説では、14回にも及ぶスタンディングオベーションがありました。2)

かつての敵、今日の友

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。 70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。 近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、仰っています。

 「硫黄島には、勝利を祝うために行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ。」

 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。 これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。

熾烈に戦った敵は、心の紐帯(ちゅうたい)が結ぶ友になりました。(演説内容から抜粋)3)

安倍元首相は、どのような思いで、このシーンを作為されたのでしょうか。

  滑走路にひざまずき、合掌されている安倍元首相は、今も私達に何かを語りかけておられるように思えてなりません。

 「トップリーダーたるもの、世界観、歴史観を有していなければならない。 日本が多くの犠牲者の上に成り立っていることを忘れては、ならない。」河野氏は、熱く語られました。

 第1列島線~第3列島線を引き合いに、見積もられる中国海軍の戦略及び今後の見通しを冷静な分析を交えて語られた河野氏の講話は、あっというまに定刻となってしまいました。

  河野氏の、剣をペンにかえての引き続きのご活躍を切に願いつつ、投稿を終えることといたします。(副会長:細國 春夫 記)

参 考:

1)安倍元首相、硫黄島訪問で突然ひざまずき・・河野克俊元統幕長が当時を語る「自然とそういう行動に」YAHOOニュース ENCOUNT 7/12() 20:57配信

2) Ameba ブログ 猫の遠吠え『次の世代に残したい日本』アメリカが泣いた!2015-05-02

3) 外務省HP 米連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説「希望の同盟へ」(2015429(米国東部時間))

海賊対処行動及び第8護衛隊(すずつき)激励

  佐世保水交会は、令和498日(木)、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動及び中東方面の情報収集のために派遣される第8護衛隊司令 飯ケ谷 孝広1等海佐及び「すずつき」艦長 岩森 雄飛2等海佐に対して、水交会からの激励品を外村佐世保支部会長からお渡しし、部隊を激励しました。また当日、所用で面談できなかった「すずつき」先任伍長にも同様の激励品を岩森艦長からお渡ししていただきました。

8護隊司令 飯ヶ谷1佐

 部隊は9月18日(日)に佐世保を出港した後、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため日本近海において14日間にわたり訓練等を行いつつ乗組員の健康観察を実施した上で、ソマリア沖・アデン湾に向け進出するとのことです。

 本任務は、新型コロナ感染拡大前においても困難なものであったのが、感染防止のためさらに諸制約がかかり、乗員の皆様のご苦労は大変なものだろうと思われます。しかし、海上自衛隊ひいては、我が国のプレゼンスが中東方面や進出経路のシーレーンで示されることの重要性は論を待たないと考えます。大変でしょうが、無事の任務完遂を祈念いたします。

すずつき艦長 岩森2佐

 激励には、佐世保水交会副幹事長 甲斐義博も参加しました。甲斐副幹事長は、足が悪く、桟橋の下から激励するつもりでしたが、飯ケ谷司令、岩森艦長とも、わざわざ、岸壁まで下りてきてくださり、甲斐副幹事長も司令、艦長と懇談・激励することができました。ご配慮に感謝いたします。

(水交会佐世保支部)

令和4年度佐世保水交会定期総会に寄せて

 佐世保水交会(会長:外村尚敏)は、令和4年4月9日()、佐世保市内の大規模総合施設・アルカスSASEBOにて、定期総会を開催しました。 佐世保市は、本年1月21日()、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、「まん延防止等重点措置区域」に指定され、3月6日()にようやく解除されました。 総会開催予定期日を1か月後に控え、会長及び関係幹事は、準備期間も十分にないまま東奔西走の日々を過ごし、ようやく実施にこぎつけることができました。

 さて、本総会において、特筆すべき事項を何件かご紹介します。 まずは、「役員の選任」につきまして、外村会長が4期目の再任に至ったことです。 役員は、2年を1任期とし、再選については、特に制限がありません。

 外村会長は、後進に道を譲るべく、3任期目の職責を果たしましたが、諸般の事情により後任者を得られませんでした。 やむなく、外村会長には、もう1任期の再任をお願いし、会長は、次期新態勢への円滑なシフトを勘案した役員の選任・任命を実施されました。

 思い起こせば、会員数の減少が非常に危惧される情勢において、外村会長は、各種の手段を策定し、その抑制に誠心誠意尽力されてきました。

 また、「海軍兵学校針尾分校の碑」については、海軍兵学校第七十八期から委託を受け、諸調整を経て、同碑の清掃作業やメンテナンスなどの維持管理業務を軌道に乗せたのも外村会長でした。 外村会長には、“誠に申し訳ございません”と、合掌の一心であり、あと2年間、老体?にむち打ち、よろしくお願いする次第です。

 次に、会長からのたってのお願いで、千葉敢三副会長に「顧問」への就任をお引き受けいただいたことです。 他の顧問の方々とともに、引き続き、佐世保水交会の道しるべとして、有用な意見を賜りたく、幹事一同、切に願うものです。 

 質疑においては、一般会員の方から、「護衛艦の出入港行事に是非とも参加したい。叶わなければ、遠くからでも送迎いたしたい。」との熱い発言がありました。 このような方々一人一人の思いが、我が国の国防を支えていくものと痛感しました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染は、一進一退の状況が続き、自衛隊の活動にも暗い影を落としています。 また、北朝鮮の断続的なミサイル発射、中国の力による一方的な現状変更の動き、更には、ロシアのウクライナ侵攻など、我が国を取り巻く情勢は、現実味を帯びて、極めて厳しいものがあります。 水交会においては、「今、できないこと。してはならないこと。」を見極めることもまた重要な活動であり、会員の方々には、今しばらくのご辛抱をおい願いする次第です。

朝長則男 佐世保市長

 最後に、佐世保市長 朝長則男様をはじめとするご来賓のご臨席を得て、佐世保地方総監 西成人海将の講話を拝聴いたしました。

 西総監は、海上幕僚副長から、昨年12月22日に着任されたもの。 鹿児島県出身ながら、海自大村航空基地に4回も勤務経験があられ、何となく、「じげもん」(長崎の方言で、地元の人の意味)のような親近感を感じたのは、私ばかりではないと思います。

 演題は、「今後の海上自衛隊の方向性と課題」であり、我が国を取り巻く国際環境がこれまで以上に速いスピードで厳しさと不確実性を増している中、海上自衛隊が定めた「海上自衛隊戦略指針」について講話を賜りました。 西総監の、ユーモアにもあふれた、真摯なお人柄に触れ、在りし日の現役隊員としての自覚が呼び戻されたような時間を過ごしたのは、私だけではないと思います。

西成人 佐世保地方総監

 宣戦布告もなくウクライナに侵攻したロシア軍による、目をおおいたくなるような民間人に対する凄惨な虐殺を見るにつけ、日本国民の生命・財産、領海等を守り抜く海上自衛隊への協力を行う水交会の活動は、ますます重責となっています。

 佐世保水交会会員の絆が更に深まり、その活動が少しでも海自や地域社会のお役に立つことを切に願いつつ、投稿の筆を置くことといたします。(副会長:細國 春夫 記)

 

中東方面に派遣される第2護衛隊司令・護衛艦はるさめを激励

    令和4年5月13日(金)ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動(中東方面における情報収集活動兼務)のために派遣される第42次派遣海賊対処行動水上部隊である第2護衛隊司令(派遣部隊指揮官)及び護衛艦はるさめに対して、水交会から外村尚敏佐世保支部会長他1名が激励品を贈呈しました。

 統幕からの報道資料によれば、同部隊は、日本近海において14日間にわたり訓練等を行いつつ乗組員の健康観察を実施した上で、ソマリア沖・アデン湾に向け進出する予定であり、寄港地での上陸も制約を受ける模様です。

 今、我々の目は、ロシアによるウクライナ侵攻、あるいは、北朝鮮によるミサイル発射、そして、中国による覇権主義的現状変更の試みなどに向いている。しかし、このような時期にエネルギーの確保等、我が国にとって重要な中東方面及びそこに至る海上交通路において不測の事態が発生しない保証はなく、またその場合、現下の情勢下では、影響はより重大なものとなる。

    帝国海軍、海上自衛隊には、「左警戒右見張り」[i]という言葉があり、このような状況下でこそ、これら地域に海上自衛隊がプレゼンスを示すことは、大きな意義があり、派遣される部隊の隊員方は、長期間家族と離れ、困難な環境での任務となるが、任務の完遂を祈念いたします。(水交会佐世保支部)

 

[i]元自衛艦隊司令官 香田洋二海将は、「「左警戒右見張り」昨今の安全保障・防衛論議で気にかかること」(水交誌No.643 平成28年盛夏号)において、元統合幕僚会議議長 板谷隆一海将の著書「左警戒右見張り」について触れ、「「左警戒右見張り」の言葉を通じて板谷さんが言いたかったのは、「強敵と左舷で戦う時にはそちらに一点・全力集中してしまうのが人の常であるが、そのような時こそ必ず反対の右舷の見張りを確実にしなければならない。思わぬ大失敗は、全体に対する配慮という基本ができていなかったときに喫するものであり、それが戦理」である。」と述べている。

 

日本海海戦116周年記念式典を実施

   佐世保水交会では、毎年、日本海海戦において連合艦隊がバルチック艦隊に勝利した5月27日に海上自衛隊佐世保OB会と共催で同海戦の勝利を祝賀し、その偉業を通じて国を守る使命及び伝統の継承を図るとともに、国に殉じられた日本海軍の英霊と海上自衛隊殉職隊員の御霊を慰霊するため、会員はもちろん、多数の来賓の方々、また佐世保地方総監をはじめとする海上自衛隊員の方々のご参列を得て記念式典を執り行っている。

 昨年の115周年記念式典は、新型コロナウィルスの感染が急速に拡大している時期であり、早い段階から主催団体の代表により献花のみを実施することを決定したが、本年度については、関係者に案内状を送付し、感染状況を勘案し、最後まで、昨年より規模を拡大した形での開催を模索した。

「海の防人の碑」への献花

しかし、5月に入り、全国的に感染は拡大、長崎県においても感染ステージが最高のステージ5に引き上げられ、県下全域に「医療危機事態宣言」が発令されていたこと、特に、このウィルスの変異株については、その感染力に未知の部分があることから感染拡大の防止と参加者の安全確保のため、本年も感染予防措置をとって主催団体の代表等のみで行事を実施することとした。

当日は、最初に主催者を代表して、佐世保水交会外村尚敏会長及び海上自衛隊佐世保OB会広井豊明会長が、旧海軍の英霊17万6千余柱及び海上自衛隊の殉職者の御霊152柱がともに眠る「海の防人の碑」に献花を実施し、引続き、本行事の支援団体である佐世保海軍墓地保存会玉井晃会長に献花をしていただいた。

東郷元帥像への拝礼

その後、参加者総員で東郷平八郎元帥に代表される当時の海軍の方々のご功績に敬意を表するため、同墓地内にある東郷元帥像を拝礼した。

なお、旧海軍関係者として飛龍会会長福田俊郎様も参加していただいた。

 本行事の大きな目的の一つは志半ばで斃れた御霊を慰霊・顕彰することである。

そして、それとともに、もう一つの大きな目的は伝統の継承である。伝統は、自分たちが所属する組織のアイデンティティを明確とし、伝統の築かれた歴史を背景にその組織の一員であるという誇りを醸成し、困難な場面において精神的な支えとなる。

また、京都大学の中西輝政名誉教授によれば、伝統、家族、習俗的な宗教などの古くから続く価値観を共有する組織では、構成員が落ち着いた安定的な精神状態となり、その判断は穏健で健全なものとなるとのことである。一方、例えば、共産主義国家、あるいは全体主義国家では、為政者は、既存の古くからあるこのような価値観を禁止し、あるいは破壊する。そうすると人は、精神的に不安定となり、そこに為政者は自分たちに都合のいい過激なイデオロギーを刷り込み支配していくとのことである。このように伝統により支えられた精神は、安定的であり、バランスの取れた健全な判断に寄与する。

さらに伝統は、単に古いものを守り、新しいものを否定することではない。なぜなら伝統の価値は、それなくしては、新たな思想の受容そのものが不可能なもの[i]として、形骸としての過去を否定し、創造性を発揮することにより正しく過去とつながること[ii]ができることであるからである。

このため、来年度は、是非、多くの来賓の方々、特に海上自衛隊員の方々の参加を得て、この目的を達成していきたいと考える。

(佐世保水交会)

[i] 坂本多加雄「市場・道徳・秩序」創文社 pp77 

[ii] 岡本太郎 「日本の伝統」光文社 19569月 pp223

護衛艦「あきづき」出港に寄せて

 佐世保水交会(会長:外村 尚敏)は、4月18日(日)、佐世保を出港する護衛艦「あきづき」を、高後崎(こうござき)から見送った。

 護衛艦「あきづき」は、中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動のために派遣されるもので、指揮官等は、「第5護衛隊司令 1等海佐 長村 久光(おさむらひさみつ)」、「艦長 2等海佐 中澤 憲弥(なかざわのりや)」、隊員数は、約220名である。

 護衛艦による情報収集活動は、中東地域での日本関係船舶の安全確保に関する取組みとして、20191227日(金)に閣議決定され、2020110日(金)に河野防衛大臣が派遣を正式に命令した。 これまでに、第1次隊として護衛艦「たかなみ」に始まり、現在、第4次隊として護衛艦「すずなみ」が派遣されている。 護衛艦「あきづき」は、5月後半、護衛艦「すずなみ」から任務を引き継ぐ予定である。

 本情報収集活動の背景について、少し触れてみたい。

 2019613日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾を航行していたタンカー2隻が、不明の攻撃体から複数回の攻撃を受け、船体が大きく破損したと報じられた。うち1隻は、日本の海運企業が運航するパナマ船籍のタンカーであった。事案に前後し、各国のタンカーが妨害行為を受けており、米国は、イランの関与に言及した。イランとの関係が悪化したアメリカのトランプ前政権は、ホルムズ海峡の安全確保のためとして、いわゆる「有志連合」への参加を日本に求めたのに対し、日本は、イランとの関係も考慮して参加せず、一方でアメリカと情報共有面で連携する、独自の取組として、本派遣情報収集活動を始めるに至った。

 イランと日本との関係に触れると、百田尚樹氏著の小説「海賊と呼ばれた男」に書かれた、出光興産所有のタンカーにまつわる、「日章丸事件」がある。

 1917年からイギリスは、イランを占領していた。 第2次大戦後、イランはイギリスから独立していたが、石油資源は、イギリス資本の石油会社の管理下にあった。 イランは、石油資源の国有化を宣言するが、イギリスはイランの石油の所有権はイギリスにあると主張し、中東に軍艦を派遣、他国のイランからの買い付けを一切禁止したのである。昭和28323日、神戸港から一隻のタンカーがイランに向けて出港した。 日章丸である。イギリスの監視をかいくぐり、同年410日、無事にイランのアーバーダーン港に到着する。イランの人々は、熱狂的に歓迎した。翌日の地元の新聞に、日章丸の姿が大々的に掲載された。

 “時”は、現在。 419日付の報道によれば、2016年の断交以降、激しい対立が続くイランとサウジアラビアが、イラク首相の仲介により、イラク・バグダッドで関係修復に向けた協議が始まった可能性があると伝えている。

 次は、日本(人)。 駐サウジアラビア岩井文雄日本大使は、317日、サウジアラビア国王に対し、オンライン方式により信任状を奉呈した。(どこかの国の駐日大使?は、何ヶ月経っても今だ奉呈式すら済んでいないらしいが・・・)岩井大使は、20159月からイラク大使となり、イラクでは、「イラクの歴史の中で最高の外交大使」と呼ばれ、離任の際、SNSで、「この人は、間違いなく世界最高の大使。これだけ赴任先の国民と深い絆をもった大使は、どこにもいない。イワイ大使、イラク国民は、あなたを愛しています。」との声もあったほど。

 416日、管首相とバイデン米大統領との首脳会談で、「台湾の平和・重要性認識」「香港・ウイグル人権懸念」の共同声明に対し、中国の在日本大使館報道官は、「強烈な不満と断固たる反対」を表明した。

      - 写真 林田幹事撮影 -(手前に座る方々は、場所を譲ってくれた親切な釣り人)

  世界は常に変動しており、歴史、経済、人権等、いろいろと複雑な要素がからみ合っている。この中で、日本の動きだけを見てみると、「人と人とのかかわり合い」というものが特に大きな比重を占めているように思えてならない。

 418日、コロナ禍により、外村会長を除き倉島岸壁での護衛艦「あきづき」出国行事への参加がかなわなかった水交会会員有志は、いつものように、平戸藩高後崎番所跡突端に集結した。

 1130、護衛艦「あきづき」から、我々を視認した旨の発光信号とともに、艦上から“帽振れ”のあいさつが送られ、我々も一所懸命に応えた。この後、護衛艦「あきづき」は、派遣に向けた準備の一環として乗組員全員に対し、PCR検査を実施するとともに、日本近海において、14日間にわたり訓練等を行い、乗組員の健康観察を実施した上で、中東方面に進出するという。オマーン湾等の活動海域で護衛艦「あきづき」が掲げる「日の丸」と「自衛艦旗」は、それ自体は、小さなものでも、正に日本と日本人の心を中東地域に示す偉大なものであるということを心に刻み、任務を完遂されんことを切に願うものである。(副会長:細國 春夫 記)

 参 考

1 「オマーン湾でタンカー2隻攻撃、日本関連船舶も」『JETROビジネス短信』。2019614日 

2 「中東での海自情報収集活動、第5次隊として「あきづき」を派遣 4/18出港」『船舶ニュース』。202148

3 「海自・護衛艦あきづき 佐世保を出港 第5次中東派遣、情報収集活動へ」『長崎新聞社』。

  4/19()1140 配信

4 「海自中東派遣1年 活動はいつまで?」『NHK解説アーカイブス』。2021226日(金)

5 「イランが親日国になった理由=日露戦争と日章丸事件」『ニッケイ新聞』。4/19()

今年も練習艦隊を高後崎で出迎え・見送り

 令和3年度練習艦隊の国内巡航における佐世保入港時の歓迎・見送り行事は、昨年度の部外者が参加できない形態から、各団体の代表者のみは岸壁で歓迎、見送りできることとなり、佐世保水交会からは会長他1名が岸壁の行事に参加した。

   しかし、例年の行事に比べやや寂しいことは否めない。また昨年度遠洋航海は、寄港地での上陸も許されない厳しいものであったとのことであり、今年も同様に厳しい遠洋航海となることが予想されることから、佐世保水交会では、昨年に引続き、高後崎船番所跡にある船溜まりの石積みの突堤から練習艦隊の出迎え・見送りを行った。

うらが入港時の出迎え

 出迎えの際は、どうしても練習艦隊を出迎えたいとわざわざ大阪から駆け付けた関西防衛を支える会の渡邉様なども加わり自衛艦旗、水交会旗を振り、練習艦隊(練習艦「かしま」、掃海母艦「うらが」、訓練支援艦「てんりゅう」)を歓迎した。練習艦隊からは、帽振れ、信号灯による発光信号、心に響く汽笛の長一斉の吹鳴で答えていただいた。

   見送りの際は、嘗ての海の男達もすっかり潮気が抜けていたのか、予想外に早く通狭した「てんりゅう」の見送りに間に合わないという失態を犯してしまった。しかし退官後、現在も佐世保港の水先案内人として潮気の抜けていない林田幹事のみは早めに到着し、「てんりゅう」の通峡時の写真だけは撮影できた。

てんりゅう通狭時の状況

「てんりゅう」の分も含めてまだ春浅い大湊に向かう「かしま」、「うらが」に旗を振り見送りを実施した。

かしま出港時の見送り

例年であれば練習艦隊の随伴艦は、練習艦以外では、護衛艦が派遣される。もちろん掃海支援、機雷敷設など高い運用術科能力[i]を持つ掃海母艦及び難しい標的機の運用を行う訓練支援艦は、実習幹部のシーマンシップを涵養するためにはよい艦である。しかし戦術等よりバランスのとれた教育のためには護衛艦の随伴が最適であろう。出迎え・見送りに参加した我々は、海上自衛隊が少ない兵力をやりくりして、増加した任務に対応するためにいかに苦労しているかを実感した。

 昨年度の遠洋航海は、困難なものであったが実習幹部は、「ネアカノビノビヘコタレズ たくましくならむ」と成長して帰国し、また海上自衛隊としても初の北極圏航行を行うなど、逆境をチャンスに変えるたくましさを見せてくれたとのことである[ii]。本年度も同様に困難な中にも工夫を凝らし大きな成果を上げて帰国されることを確信している。

 実習幹部は、帰国後、特に艦艇要員は、直ちに艦艇に配属され、ソマリア・アデン湾での海賊対処、中東における情報収集活動、そして、力による現状変更を試みる中国への対応などにあたることとなると考える。

がんばれ練習艦隊!がんばれ実習幹部!

※1この番所跡周辺は私有地であり、佐世保水交会では、特別にお断りをして見送りを実施させていただいたものです。

2上記事情により付近の方にご迷惑をおかけしないこと及び新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、広く参加者を募らず少人数での歓迎・見送りといたしております。

(佐世保水交会)

[i] 出入港時の各種甲板作業、洋上での重量物の取扱い、標的等の投入・揚収、曳航など帆船時代から続く艦上での作業にかかわる術科

[ii] 木津忠則 「八木練習艦隊司令官、コロナ禍の「令和2年度遠洋練習航海」を語る。」 水交 No662 令和3年陽春号 pp.70 

日本遺産・凱旋記念館において総会・講演会を開催

 佐世保水交会では、令和3年4月10日、万全の感染防止策を取って令和3年度総会及び講演会を実施した。

 実施に当たっては、懇親会は当初から実施できないと判断していたが、総会及び講演会もコロナウィルスの感染防止の観点から、無理に実施する必要はないのではとの意見もあった。しかし2年連続総会を実施しないことは、会務運営上、また会員をはじめステークホルダーに対する責務の観点からも避ける必要があり、感染拡大状況によっては直前でも中止することを前提に万全の感染防止対策を取って計画を進め、佐世保市の感染状況が落ち着いていたことから実施することができたものである。

感染防止対策の一例(ソーシャル・ディスタンス・マーカーの設置)

    感染防止のため、参加者数が収容率の50%以下となる佐世保市民文化ホール(旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館)を会場として選定し、内閣官房発出の新型コロナウィルス感染症対策の基準、イベント開催時の各ガイドラインをより厳密に適用するとともに、元海自衛生員の直木幹事による問診態勢の確立及び参加者の健康観察、現役の方については出入り口を別にするとともに他の参加者との間を開け、混在をしないように配慮するなど独自の対策も取り、感染防止に万全の態勢をとった。 

出口総監によるご挨拶

    総会においては、冒頭、コロナ禍、出口佳努佐世保地方総監と着任後お目にかかる機会のなかった会員も多かったことから、出口総監からご挨拶をいただいた。国家の斉唱は行わず、海自東京音楽隊川上良司1等海曹の荘重な「君が代」の歌唱の音源を拝聴した。その後、昨年度と合わせ2年間にご逝去された会員に対して黙とうを捧げたのち、新入会員及び会員の叙勲者の紹介を実施した。そして議題の審議及び報告においては、会長及び事務局から、コロナ禍、特異な会務運営となっていることから、通常と異なることが多く、会務においていろいろ不十分なところがあるが、例年とは異なることを実施するため予想外の影響、考慮事項が多く、さらに今回の総会のように諸制約下で行事等を実施する場合に多大な労力がかかることから理解を得たい旨が説明された。

 講演会においては、本年は、講師に前統合幕僚長、水交会副理事長でもある河野克俊氏を迎え、「今後の我が国の安全保障とその課題」という演題で、講話をしていただいた。

講演会の様子

    講演会には、北村誠吾衆議院議員、朝長則男佐世保市長をはじめとする来賓の方々、出口総監をはじめ現役の各級指揮官及び先任伍長、水陸機動団長などのご参加も得た。

講師:河野前統幕長

 講演内容は、講師の現役時代の豊富な安全保障にかかわる勤務経験に裏打ちされ、我が国の安全保障の今後の在り方に関する示唆に富んだお話や、思わず背筋が伸びる現在の国際情勢に関する厳しい認識など興味深い話であった。また、堅い話だけではなく現役時代の裏話等、ユーモア溢れる話題もあった。特に海上幕僚監部防衛課長当時、2001911日に発生した米同時多発テロ事件の際、上司の防衛部長が米国から帰国できない事態となった際「いないほうが、やりやすいと思った」との冗談には、感染防止のため爆笑をこらえる方、笑おうとしたところ自分の上司がいることを思い出して笑いを押し殺すのに苦労されている方もおられた。

今回の総会・講演会の会場となった旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館は、大正12年(1923年)第1次世界大戦において地中海に派遣され活躍した第2特務艦隊などが佐世保鎮守府所属であったことから、その功績を記念して建設されたものであり、古典主義的デザインの外観が特徴的な建物である[i]。平成9年(1997年)には、国の登録有形文化財に指定されており、佐世保市の鎮守府にかかわる日本遺産の構成施設でもある。

凱旋記念館の外観

 第1次大戦において、我が国は、第2特務艦隊を派遣するなどして連合国の一員としての責務を果たし、戦後、国際連盟の常任理事国に就任するなど国際社会における名誉ある地位を確立した。そして現在、我が国は、バイデン米大統領が「21世紀における民主主義の有用性と専制政治との戦い」と評する[ii]国際情勢下、力による現状変更を試みる中国に対して自由で開かれたインド太平洋を守るため米国をはじめとする民主主義の価値観を共有する国々と共同している。

 凱旋記念館を本講演会の会場に選定したのは、感染防止の観点からであった。しかし期せずして、同館は、第1次大戦から約1世紀の時を経て、この新たな国際社会の一員としての責務を果たすために大きな役割を果たす佐世保・大村所在の海上自衛隊、水陸機動団、そしてそれを支援する地元の方々及び水交会会員が集まって前統幕長の講話を拝聴していただくための適切な舞台装置となったと考える。

(佐世保水交会)

[i] 佐世保市作成「佐世保市民文化ホールパンフレット」からの引用

[ii] バイデン大統領は、就任後最初の記者会見において“This is a battle between the utility of democracies in the 21st century and autocracies.”と述べている。President Biden in Press Conference MARCH 25, The White House WH.gov